’22-23シーズン最後の戦いは、琉球ゴールデンキングスの優勝で幕を閉じました。
白熱したGAME1およびGAME2では一体何が起こっていたのか?
セットオフェンス、ディフェンスシステム、そしてスタッツから読み解いていきたいと思います。
(考察を含みますのでご了承ください)
まずは、ファイナル予想記事からご覧いただけるとより楽しめると思います
用語はこちらから
GAME1あらすじ
選手など敬称略
この試合は、ダブルオーバータイムにもつれた大熱戦になったが、個人的な注目は1Qに集約されていたように思えます。
まずは琉球のハイドロップDFです。
別名フリースローラインドロップやUp to Touchドロップと呼ばれるこのDFは、通常のゴール下まで下がるドロップDFとは違い、フリースローラインあたりにビッグマンが留まり、ドライブを見ながら、3を見ながら、ボールマンDFの戻りをまちつつ、ロールマンが侵入してきたらロールマンに付くという欲張りセットのDFです。当然ながらビッグマンには相当な状況判断とアジリティが求められる高難度の作戦であり、琉球は(特にジョシュ・ダンカンは)それを完ぺきに遂行していました。
1Q残り9:25
Hornsアライメントからコーナーの富樫へStaggerクリーン(2人が縦に並ぶオフボールスクリーン)を仕掛け、エドワーズがチェイスPnR(ピック&ロール)をしかける。富樫はリジェクトで揺さぶった後に、エドワーズへパスからGetアクション(即座にハンドオフ)を仕掛けるが、ダンカンがドライブに対して絶妙なドロップを見せ、富樫にプルアップのペリメタを打たせショットミスを誘った。
続いての注目は1Q残り5:05 。トランジションからの、クリス&ムーニーのステップアップPnR。
今村が側面を追いかけながら、クーリーはムーニーのドロップを見ながらバックペダルを微調整。
ドライブを止めつつ今村がクリスの正面に入ったことを見届けるとムーニーへのDFに集中し止めることに成功。
最後は1Q残り2:10。スミス&エドワーズのZipperから、チェイスPnP(ピック&ポップ)。スミスは富樫同様に一度リジェクトで揺さぶりながら再度スクリーンを使う。ダンカンはフリースローラインで陣取りながらスミスを抑え、ポップアウトしたエドワーズへは松脇が(レイト)スイッチ。スミスはエドワーズへパスし、受けたエドワーズがカウンタードライブ。インサイドへ誘い込んだ後にはエドワーズとスミスがスイッチバック(スイッチ後に元のマークマンに戻る)を行い事なきを得た。
このDFが千葉の何を狂わせたかというと、千葉のペネトレイトを誘ったという1点に尽きるでしょう。
ビッグマンが前に出てくる=ゴールしたが空いている=スピードのある選手にとってはドライブチャンス
…ということで、すべてのポゼッションにおいて40%以上の攻撃で3ポイントを放ってくる千葉に対しドライブへ誘導したこのクオーターは千葉の3ポイントを3本に抑えることに成功し、このクォーターの点差が最後まで響いた試合でした。
私が琉球のオフェンスで気になったプレイは、コーフリッピンが起こしたターンオーバーです。
明らかにスティールされる画が思いついたであろう瞬間であったが迷いなくダーラムへのパスを選択しています。千葉のヘルプに対するハイローないしはローハイはチームで必ず遂行するルールになっていると感じさせるものでした。
スタッツ分析
両チームアウェイ換算
千葉 | 琉球 | |||
3FG% | 21.60% | 31.00% | ☆ | |
FT% | ☆ | 82.90% | 61.80% | |
2FG% | 43.48% | 43.64% | ☆ | |
PfT% | 7.53% | 8.33% | ☆ | |
PitP% | 38.71% | 47.92% | ☆ | |
SCP% | 11.8% | 27.1% | ☆ | |
SCP Rtg | 0.6 | 1.1 | ☆ | |
FBP% | ☆ | 12.90% | 12.50% | |
2ptA% | 46.75% | 55.58% | ☆ | |
3ptA% | ☆ | 37.60% | 29.30% | |
2pt割合 | 43.01% | 50.00% | ☆ | |
ペリメタ割合 | ☆ | 4.30% | 2.08% | |
3pt割合 | 25.81% | 28.13% | ☆ | |
FT割合 | ☆ | 31.18% | 21.88% | |
FT獲得率 | ☆ | 42.17% | 40.48% | |
eFG% | 38.55% | 44.64% | ☆ | |
ORB% | 34.5% | 42.9% | ☆ | |
OFFRtg | 108.2 | 111.7 | ☆ | |
NetRtg | -3.49 | 3.49 | ☆ | |
TS% | 47.26% | 48.50% | ☆ | |
pace | 68.75 | 68.75 | ||
AST% | 36.87% | 37.53% | ☆ | |
HOMEeFG% | ||||
HOMETS% | ||||
AWAYeFG | 38.55% | 44.64% | ☆ | |
AWAYTS% | 47.3% | 48.5% | ☆ | |
TOV% | 9.3% | 15.1% | ☆ | |
POSSESSION | 85.94 | 85.94 | ||
Shot Chances | 106.40 | 111.96 | ☆ | |
攻撃成功回数 | 98.40 | 98.96 | ☆ | |
AST/ TOV | ☆ | 2.00 | 1.38 | |
TOM | 1.3 | 4.0 | ☆ | |
LiveTOV% | 3.49% | 10.47% | ☆ | |
DeadTOV% | ☆ | 5.82% | 4.65% | |
FT Freq | ☆ | 55.00% | 51.59% | |
PfTRtg | 0.54 | 1.00 | ☆ | |
FTD% | ☆ | 15.65% | 15.12% | |
HOMEFT% | ||||
AWAYFT% | ☆ | 82.90% | 61.80% | |
HOFFRtg | ||||
AOFFRtg | 108.2 | 111.7 | ☆ | |
HOME2FG% | ||||
HOME3FG% | ||||
AWAY2FG% | 43.48% | 43.64% | ☆ | |
AWAY3FG% | 21.60% | 31.00% | ☆ |
琉球は鬼門であった3ポイントを本数・決定率ともに抑えることに成功しています。
僭越ながら、予想記事にて提案させていただいた琉球勝利のシナリオは、
■千葉の3ポイント決定率を33%以下に抑える→21.6%で達成
■千葉のTOV15%、欲を言えばスティール6回→9%、3回で未達
■総ポゼッションの55%以上を2ポイントで終わりたい→ 2ptA55.58% で達成
■3ポイント35%以上の決定率→31%で未達
■オフェンスリバウンドは40%を超えて獲得→ORB 42.9% で達成
■試合のペースを70回未満→ Pace68.75 で達成
■琉球ターンオーバー1桁 →回数はWOTのため未達だが、TOV15%と割合では達成。
ということで数値の近似値も相まってある程度信憑性はあるのではないでしょうか。
逆に言えば、3pt21.6%でも大接戦と言うことは、この上で琉球はTOVに関するスタッツ又は3pt決定率も要求されるというハードルの高さが伺えるゲームでもありました。
逆に千葉は、オープンシチュエーションでの3ptでも入ってくれない我慢の展開が続いたゲームでした。
コメント