2021年7月29日、オリンピック第2戦。
対戦相手はFIBAランキング16位、ルカドンチッチ率いるスロベニア代表。
歴代最強の日本は4Qに突き放され敗戦。
オリンピックのコートでは果たして何が起こっていたのか、自称世界一の情報量でお送りします!
※選手の敬称は略しております
1Q
スロベニア代表のスターターは、
神童、天才、彼を形容する言葉は数あれ、間違いなくNBAを背負っていくスーパースター
#77 ルカ・ドンチッチ
マイアミヒートでプレイ経験もあり、今も同チームで活躍するゴラン・ドラギッチの弟
#30 ゾラン・ドラギッチ
NBAデンバーナゲッツで活躍する
31 ブラッコ・チャンチャー
ユーロバスケット金メダリスト
#11 ジャカ・ブラジッチ
NY出身でU19ワールドカップ金メダリスト
#10 マイク・トビー
といった豪華な布陣
対する日本は先のスペイン戦と同じく
田中・馬場・渡邊・八村・エドワーズ の5人
日本ボールで試合開始。
両サイドでダウンスクリーンを展開する今までとは違ったセットオフェンスで開幕。
右サイドではエドワーズが、左サイドでは八村が飛び出す珍しい形。
スクリーンに対してルカドンチッチがスイッチし早くもエース対決。八村のミッドレンジジャンパーは外れてしまう
スロベニアの1stオフェンスは、ダウンスクリーンからウィングがボールを受け、逆サイドローポストのビッグマンがピックに行くと見せかけてSlipするという、AkatsukiSpecialとにた構造のセットで開始。
ルカドンチッチには渡邊が付く戦略をとる日本に対して、スロベニアはハンドオフをキャンセルしアップスクリーンのような形でドンチッチがゴール下を狙うアクションに変更。渡邊のマークこそ剥がしたもののエドワーズの手にかかりターンオーバー。
残り9:18本日初得点はスロベニアのBLOB(baseline out of bounds)から。
ハイポストのスクリーンを使って2人がウィング方向へ飛び出し、2人目の選手へパスし打つと見せかけて本命は1人目のユーザー。改めてStagger(二枚のスクリーン)を使いトップでボールをもらうとそのままレイアップ。0-2とした
残り8:58スロベニアは1stオフェンスと同じセットを選択。
渡邊がドンチッチに強烈なディナイをかけるを見るや、逆サイドのドラギッチへのサイドPnR(ピック&ロール)を仕掛ける。
「アンダー、アンダー」の掛け声とともに馬場がアンダーした瞬間に、3ptを狙い馬場のファールを誘った。その瞬間に渡邊が落ち着くようにコミュニケーション。
スロベニアが2本FTを決め0-4
ここまでドンチッチを使わずに点差を広げにかかる。
返すアーリーオフェンスからエドワーズが初得点。
残り8:00
スロベニアに対して日本がオールスイッチDFで対応することが発覚する。ルカは冷静にエドワーズとのマッチアップを引き出し、
八村が左ウィングのブラジッチについている田中に対し、ドンチッチに近づいてディフェンスするように指示。
ベンチからも「大貴!大貴!」という声が出ていたため、ルカドンチッチ対策としてダブルチーム気味につくことはチーム戦略であるようだ。
ドンチッチに仕事をさせずディープ3を打たせた日本の作戦勝ちである。
そのドンチッチ初得点は残り7:20
馬場を相手にポストアップしたドンチッチに対し、得意とするミドルレーン側にターンしてのジャンパーを防ぎたい日本は渡邊がミドルライン側にヘルプへ入る。しかしスティールをしにチェックした瞬間ショットモーションに入りファウルをもらう技ありプレイをみせFTを得た。4-8。
残り6:54日本も反撃に出る。
SLOB(sideline out of bounds)から。日本のSLOBといえばStaggerということで、馬場がトップでもらいエドワーズとのハイピック。八村に渡し1on1へ移行。ファウルをもらいFTを得る。
このオフェンスで八村のところで点が取れると判断した日本は、続く6:20にも同じセットから八村の1on1を引き出しスコア。
さらに6:01には日本の1stオフェンスと同じセットから、田中・八村のPnP(ピック&ポップ)にエドワーズがフレアスクリーンを合わせる、所謂FistMiamiのオプションを選択。八村のドライブにドンチッチがヘルプに入ったところを空いた田中へキックアウト3を決め10-13とした。
徹底した八村攻勢である。
残り5:20
スロベニアは一貫してドロップDF(ビッグマンが下がる)+レイトスイッチ(深い位置に入られたらスイッチ)を行い日本のPnRを迎え撃つ。しかしその弱点は下がり方。ギャップをとらえた田中がミッドレンジを決め3点差でくらいつく
残り5:05
田中のWチームを嫌ったスロベニアはオフェンス戦略を変更する。
ブラジッチを左コーナーに置いて、自身も左のスロットへ移動することで田中がヘルプに出られない状況(距離があってコーナーを離せない)を作り出す。
無理をして田中が飛び出したところをコーナーへキックアウトし3ptを打たれる。
残り4:50の BABA BooM未遂と、4:40お返しの速攻により日本は15-15の同点に追いつく。
しかし強豪はこういったところで流れを渡さない。
ドンチッチが得意のPnRリジェクトを選択するとヘルプに入った田中からファウルをもらいAnd1。再び点差を3点とされる。
シェーファーがコートイン
返しのオフェンスでは馬場が指5本のサインをコール。Thunderを指示。
しかしスロベニア選手たちからも「ファイブ!ファイブ!」とのコールが飛ぶ。
ダウンスクリーンを使いながら右から左へサイドチェンジをしながら様子を伺い、トップの馬場のカットインを合図にシェーファーが八村にダウンスクリーンを仕掛ける。オープン3を作り出しまたしても同点。18-18.
残り3:04 馬場が2ファウルを喫した時点で金丸と交代
続く2:47 八村の1on1がついに止められ速攻を食らった瞬間にラマスHCがタイムアウトを要求。18-24.
(タイムアウト中にもスロベニアベンチから八村・渡辺の名前が飛び交う)
2:25日本のATO(AfterTimeout)Horns Strong からFlareスクリーンを仕掛けるセットを選択。八村にスイッチを選択した瞬間に日本はアイソレーション。八村の3ptが見事決まり3点差
残り2:03次はスロベニアのATO。これまでのスイッチDFからブリッツDF(ボールマンへ積極的なWチーム)で奇襲をかけるもドンチッチは冷静にロールマンへパスし攻略されてしまう
残り1:20には、Wチーム気味に守る日本のスタンティングDFもなんのその。華麗なステップワークで3人を交わしレイアップを決める圧巻プレーもあり23-29と離して1Qが終了した。
2Q
ベンチからは、開始3分DF強化、速攻、ドンチッチをハーフコートラインで止めるよう指示があった模様。
2Q開始には金丸・富樫がコートへ
スロベニアボールで開始。
1stオフェンスはシンプルなRip(バックスクリーン)からスクリナーがハンドオフからのキックアウトを狙いすました富樫が見事なスティール。指示が効いている
日本の1stオフェンスは、これまでATOで良く見たセット(slip→HO→Knicks)で富樫と八村のPnRを志向。
八村のミッドレンジは外れてしまう.
残り8:56 日本は1stオフェンスで使用したセットと同じものを選択。
富樫と八村のPnRに対してスロベニアはこの試合初めて(クイック)ショー&アンダーDFを見せる。プルアップ3をもつ富樫への対策であったが、そのアンダーDFを富樫が見逃さない。ギャップが出来た瞬間に右から左へ切り返し、八村とのリピック(サイドPnRをしかける)でギャップを広げ持ち前の速度で侵入。フローターを決める。25-31。
富樫のPnRが効くと判断した日本は残り8:15、富樫に対し2枚のスクリーンを立てたPnRを行う。2枚目のスクリーンを使いながら左のコーナーへ移動し、スロベニアが中途半端なICEを行った瞬間にプルアップ3を放つも外れてしまう。
残り7:50 1Qから日本のハイスタンティングなDFに手を焼いていたスロベニアはそのスタントDFにフレアスクリーンを掛けことで元々のマークマンをフリーにする仕掛けで解答。25-34
7:34 にスロベニア ドラギッチがアウト。日本は比江島がイン
7:15 次はウィングではなくコーナーに1人を置いて富樫のハイスタンティングを防ぐアライメントを使う。ドンチッチとディメックのハイピックからドンチッチにスイッチしたエドワーズがついにあのステップバック3フェイクの餌食になってします。ファールをもらい3ショットを献上。NBAでおなじみのシーンである。25-36とこの日最大点差が開く。
しかしここから比江島が輝き始める。
残り6:48にはエドワーズとのSlotPnRからいとも簡単にミドルライン方向にドライブ。虚をつかれたスロベニアは4人がペイントで守りを固めるも巧みなステップワークからコーナーへキックアウト。渡邊のコーナー3を演出し28-36と1桁点差へ。
(ここでドンチッチがベンチへ)
残り5:25のSLOBではシンプルなSlotPnRからスクリーンを上手く使い相手のドロップDFを再三見ている比江島はビッグマンとのギャップを確認しプルアップ3を決めた
その直後4:57にはスティールから馬場がトランジションレイアップを決め6点差としたところでスロベニアが本日最初のタイムアウトを要求。
スロベニア注目のATOはAI-AwayからHawkActionという複雑なセットをコール。AIスクリナーがダウンスクリーンをかけコーナーのフロバットがボールを受け、AIユーザーであるプレぺリッチが左ローポストから2枚のスクリーンを使って飛び出した瞬間にフロバットのパスフェイクからそのままドライブ。エドワーズ起死回生のPeelSwitchで凌いだ。
日本のATOはディフェンスピックアップの時点で八村がミスマッチであったためポストアップからショットするも外れ、逆にトランジションで2点を返されてしまう。34-42。
しかし勝負所で使うのは、もうおなじみになった富樫の右こぶしを突き出すサイン。AkatsukiSpecialだ。
今回は好調な比江島がラストハンドラーになり八村とSlotPnR。
プルアップ3を見せられているスロベニアはショー&アンダーで守るが、先ほどとの富樫と同様にリピックからギャップを広げミッドレンジジャンパーを沈め36-42に戻す。
ここからはまさに点の取り合い。
残り3:10 プレぺリッチに対して比江島が前にプレッシャーをかけた瞬間にPnRを仕掛けられエドワーズがドロップしペイントを守りに入るもアリウープを決められると
返しのオフェンスでトランジションからエドワーズとのコンビネーションで渡邊がダンクを見舞う。
さらにその返しのスロベニアは右サイドのプレぺリッチから左ウィングまでパスを渡し、サイドPnRを始めると見せかけてプレぺリッチにワイドスクリーンを仕掛ける、所謂ThrowBackアクションを行いオープン3を決め11点差に戻すとエドワーズのTOVから得点を許すと日本がタイムアウトを要求。
残り2:10 38-51。
田中とシェーファーがコートへ。
日本のATO、スロベニアは日本のプランを崩そうと高い位置から強烈なプレスを仕掛けてくる。
フロントコートに持ち込んだ渡邊はHornsアライメントからエドワーズへパスを出し、コーナーの田中を活かすChicagoアクションへ移行。ハンドオフを受けた田中はそのままシェーファーのピックを使うが痛恨のファンブル。24秒オーバータイムでオフェンスを終わってしまう。
日本エドワーズ↔八村交代
今度はスロベニアのATO。巧妙なセットを使う。
ブラジッチがペイントのなかで控えた状態でトップでPnRが始まる。
完全にSpainPnRのアライメントであったが、ピックが始まった瞬間にブラジッチはトップではなくムリッチのクロススクリーンを使いコーナーへ飛び出し虚を突かれた馬場は追いつけずワイドオープン3を許してしまう。結果として外れたため助かった形だが、SpainPnRの新たなオプションを見ることが出来た。
シェーファーをセンターに据えるスモールラインナップとなった日本に対抗するため、これまでのドロップやショー&アンダーを捨てオールスイッチで対応してきたスロベニア。
これに対し日本は残り1:13と0:50連続で八村に小さい選手をスイッチさせミスマッチをアタックする戦略を取り41-51と10点差まで縮めるもスロベニアにラストオフェンスを決められ41-53 12点ビハインドでハーフタイムへ
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