Bリーグ20-21シーズンは、見事千葉ジェッツの優勝で幕を閉じました。
そのチャンピオンシップファイナルGAME3では一体何が起きていたのか!?特濃ボリュームで分析いたします。
※今回は長くなるため、選手敬称略で失礼します
GAME1 &GAME2
GAME1 &2の復習はこちらから
GAME3 1Q
絶対に負けられない両者、
1Qにおけるセットオフェンス内訳は以下の通り。
■セットフェンス内訳
[千葉]
ピック&ロールエントリー4回
Spain系1回
ハンドオフエントリー4回
Horns系3回
Swing系0回
AI系0回
オフボールスクリーンエントリー1回
アーリー・ディレイ系3回
ジェッツスペシャル2回
[宇都宮]
PnRエントリー2回
Spain系0回
ハンドオフエントリー2回
Horns系5回
Swing系0回
AI系0回
オフボールスクリーンエントリー3回
アーリー・ディレイ系0回
■スターター
【宇都宮】鵤・ピーク・遠藤・スコット・ロシター
【千葉】富樫・ダンカン・サイズ・原・佐藤
両者不動のスターティング5。
このメンバーが怪我なく変わらず出場できていることに,一観戦者として感謝。
ゲームは宇都宮ボールでティップオフ。宇都宮は一八番の縦にスクリーンを2枚並べる、HornsタンデムPnR(ピック&ロール)から開始。しかしロシターは一瞬の判断で逆側にスクリーンを立て、ポップアウト。スコットをロールさせる。コーナーの原がロシターのドライブにGame1&2同様スタンティングした瞬間にコーナーのピークがバックドアカットを判断しそのままスコア。
原はGAME2の宇都宮の傾向からキックアウト警戒が裏目に出てしまう。1stポゼッションの駆け引きは宇都宮が上手であった。
返す千葉のオフェンスは、ゴール下の富樫がサイズサイズのスクリーンを受けながらダンカンのハンドオフを受けるChicagoアクションで開幕。スコットのショーディフェンスを置いていくドライブを見せたが得点にはならず。
千葉は(スタンティングDFは継続として)ピークのハンドオフやPnRに対しては下がり気味に守るDropディフェンスを採用。それ以外の選手にはクイックショー(ビッグマンが半歩前に出る)ディフェンスを行うなど明確なピーク対策を見せるが、
クイックショーは攻略済みだと言わんばかりに鵤の連続スコアを許す。
しかし黙ってはいない富樫は右腕を真横に突きだすサインをコール。
Hornsからハンドオフとピックを断続的に仕掛け、3人DFを惹きつける強烈なドライブを披露。コーナの佐藤にキックアウトし悠々と3ptを決める。
余談だが、富樫が右手人差し指で目を指差すようなサインが
ジェッツスペシャルのようである。
キックアウト3が2/2で冴える千葉は残り7:41で7−8と逆転に成功。
しかしここから一進一退の攻防が始まり残り6:30で同点とする。
気になった点は、ここまでロシターが全てのポゼションでプレーコールを指示している点である。宇都宮のゲームで見られるシーンではあるものの、ここまで長く司令塔になるシーンは珍しくロシターのIQの高さをうかがわせる。
流れを変えたい宇都宮は残り6:00で比江島を投入。
千葉もショーター・エドワーズ・西村を投入
本日2度目のジェッツスペシャルは、セット自体は防がれたもののサイズの1on1からAnd1を獲得。正に一進一退の攻防が続く。
宇都宮は腹を括ったかのような、
オールクイックショーDFで、ボールマンドライブを徹底的に守る戦略をとるが、ポップアウトは若干苦手とするDFアライメントであるため千葉はサイズが積極的にポップアウトを開始。オープン3を決める。
残り4:21でロシターを下げギブスを投入。
1Qから目まぐるしくメンバーを入れ替える両チーム。
宇都宮は3回連続で同じセット(エンプティーサイドでPnR→逆サイドビッグマンに展開→45カット+コーナーからハンドオフ)をコールするも得点ならず。
残り3:21 千葉が上記のポップアウト戦略を以ってエドワーズが3ptを決めた瞬間に、安斎HCがタイムアウトを要求。
残り3:11 16−19 千葉リード
タイムアウト明け宇都宮のオフェンス。これも宇都宮得意のHorns(Strong HandOff)から比江島のドライブを選択。
例にも漏れず千葉はコーナーのショーターが素早くスタント(ヘルプ)。その瞬間に比江島のマークマンであったフリッピンへコーナーへのスイッチを指示。ズレを解消することで比江島に苦しいキックアウトを強いることに成功。これはGAME2のロシターのワイドオープンコーナー3を打たれ流れを失った教訓が生かされているように思えた。
宇都宮はタイムアウトでDFを若干修正。ショーの幅を狭くし千葉のポップアウトを警戒するシフトへ移行。
互いに2点ずつ取り18−21 千葉3点リードで2Qへ
宇都宮の3pt 0/9が気になるが、それでも18点スコアする恐ろしさも垣間見えた1クオーターであった。
GAME3 2Q
2Qにおけるセットオフェンス内訳は以下の通り。
■セットフェンス内訳
[千葉]
ピック&ロールエントリー3回
Spain系0回
ハンドオフエントリー5回
Horns系2回
Swing系0回
AI系0回
オフボールスクリーンエントリー2回
アーリー・ディレイ系0回
Jets Special 1回
StS 1回
[宇都宮]
PnRエントリー1回
Spain系1回
ハンドオフエントリー4回
Horns系2回
Swing系1回
AI系0回
オフボールスクリーンエントリー4回
アーリー・ディレイ系0回
StS 1回
宇都宮:テーブス・比江島・渡邊・ロシター・ギブス
千葉:西村・田口・ショーター・ダンカン・エドワーズ
でスタート。
宇都宮はハンドオフorPnRを4回行う複雑なモーションオフェンスを展開するも、渡邊以外には全てアンダーをする千葉に全くズレが作れずスコアならず。
返す千葉は、これもファイナルで初めて見るセット(Flex→クロススクリーンのStS→Chicago)を使い、3pt好調の西村がタフ3を決める。
守りあいの様相を呈するが、宇都宮がショーDFをする・しない、スイッチする・しないの意思疎通に綻びが見え始め、残り7:49 18−28と千葉10点リードになったところで安斎HCがタイムアウト要求。
行きかけた流れを切りに行く。
タイムアウト明け宇都宮のオフェンスはZipperから、ハイポスト、ローポスト同時にダウンスクリーンをかけるStackのようなセットを使う。
投入したピークがダウンスクリーンを使いウィングでボールを得るもショーターの激しいプレッシャー。スクリナーのスコットにパスを出しローポストパンチを仕掛けるもダンカンのマンマークを崩せない。ピークの1on1に賭けるも苦しいオフェンスを強いられ得点ならず。
しかしここが前半の勝負どころと判断した安斎HCはDFのギアを上げさせる。
ガード同士のオフボールスクリーンには積極的にスイッチ。
ボールマンに対しては常にハーフアームでついていくことでピックに対しオーバーし易くしていた。かなり疲労が伴うDFだが、タイムアウトから約3分の間に千葉を2点に抑えることに成功。(その2点もエドワーズのタフなペリメタ)
その間に宇都宮は、遠藤がロシターにピックし虚を突かれたサイズがアンダーした瞬間にロシターがプルアップ3を決め、千葉の緩慢な守備から遠藤がコーナー3を決めた。
守備の集中を欠いていると判断した大野HCはタイムアウトを要求。
若干の緩慢さを見せた田口とフリッピンを交替
残り6:11 24−28 千葉リード
タイムアウト明け千葉のSLOB, スクリーンから二人が矢継ぎ早に飛び出すCircleアクションから西村・サイズのPnP(ピック&ポップ)に移行するもスコアならず。
宇都宮は、ロールマンのロシターにDFを惹きつけた隙にピークのドライブが決まり2点差まで迫る。千葉の早いヘルプが裏目に出てしまった。
さらに宇都宮はショーターと外国籍ビッグマンとのPnRはスイッチ対応するように修正(これはGAME1&2でも見られたため共通ルールの可能性も)した。スイッチでできたミスマッチは残りのビッグマンとスクラムスイッチ(3人目のDFとのスイッチ)することで解消。
同じくボールマンプレッシャーを強くした千葉であったが、近いほど抜かれるリスクが高まるため 鵤が西村をシンプルに抜きスネイクドライブをしながらレイアップ→スコットのSCPにより28−30の2点差まで詰めたところでオフィシャルタイムアウト。千葉は原がコートイン。
タイムアウト明け千葉のオフェンス。ATOに仕掛けるブリッツDFという宇都宮あるあるを仕掛けられボールが停滞。エドワーズが3秒バイオレーションでターンオーバーを喫する。
返しのオフェンスで千葉のボールプレッシャーをかいくぐり宇都宮が同点にする。残り3:12
千葉は富樫・ダンカン・フリッピン、
宇都宮は渡邊コートイン。
比江島・ロシターのPnRをTOVした宇都宮を尻目に富樫が3を決め反撃開始すると、比江島のPnRに拘った宇都宮が同じくプルアップ3を決める熱いタイムアウト明け。
千葉がコーナーの富樫に対するChicago→Miami(ハンドオフ+PnR)から富樫・ダンカンのホットラインでスコアすると、比江島は富樫とのミスマッチを狙ったパンチ(ポストアタック)→フェイドアウェイジャンパーを沈める。
35−35の同点で前半終了となった
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